映画版、舞台版、それぞれの「あいあい傘」
先月誕生日月で、会員登録済のところからクーポンが届いており、そこから SMTメンバーズ会員の誕生日クーポンを使い「日日是好日」を観賞、その後に今タイトル作の「あいあい傘」、そして「コーヒーが冷めないうちに」と立て続けに観賞。先に公開日程が決まっていた「あいあい傘」は元々鑑賞予定で普通だったら買わないムビチケ券まで購入済。にもかかわらずTOHOシネマズは1週間ほど 会員デーとして公開してた。早く知っていたらムビチケでなく1,100円で鑑賞できたやん(>_<)
この話題にでてきた「あいあい傘」については後で述べるが「コーヒーが冷めないうちに」についてもトリビアがあり、元は舞台作品が映画化、ということを知り、なんとこの時期に大塚の小劇場で舞台やってるんやん。あぁ先約があって時間合わんかったなと観劇は断念(>_<)
さて、今回のメイン記事のタクフェス(正式名称 Takuma Festival Japan)を主宰する舞台俳優の宅間孝行が、東京セレソンデラックス(脚本家名サタケミキオとして)で上演した「あいあい傘」を今年映画化、再舞台化、そして小説化を実現すると聞いた。劇団名を聞いてのとおり、ある意味宅間孝行のワンマン運営。何せ主役になるためだったら、脚本・演出含め全部自分がやりゃいいじゃん、っていうノリ。
「あいあい傘」を初演した頃の宅間は小劇団ながら脚本家(サタケミキオ名義)・舞台俳優としての存在は一種カリスマ性があり、東京セレソンデラックスは屈指の集客を実現していた。また熱心なファンも多く注目も浴びていた。しかもテレビドラマの脚本家としても引く手あまたの状態。私生活では女優大河内奈々子と結婚直後。若かりし頃ではあるがご本人はまさしく絶頂期だったといっても過言ではないだろう。
ただこの頃までの作品は注目を集めるには少し毒がある設定で魅了したほうがいいとのアドバイスを受けたためか、極端な悪人が出てくる、また主人公(に近い人物を含め)が死んでしまう、というようにバットエンドな作風が多かったらしい。
でもドラマはハッピーエンドで終わるのが許容できる。上演後のアンケートでも「是非ハッピーエンドで結末を」と言われることが多くなり、また東京だけでなく初の地方進出(大阪・心斎橋そごう劇場)にふさわしい作品として悪人がでてこない「あいあい傘」を完成させたらしい。
私の記憶ではこの頃には既に東京セレソンデラックスの名前は意識しており、この前後に上演した「歌姫」あたりで初観劇にしたかったのだがタイミングがあわず、結局解散公演の「笑う巨塔」になってしまったが。
それで映画版のほうが先に公開されることもあり、公開 2日目に観賞。倉科カナ演じる主人公の高島さつきの揺れ動く感情、葛藤がとてもよく演技されていました。今回実質初めて拝見した六郎役の落語家立川談春の台詞や仕草から出てくる間、そして玉枝役の原田知世の演技も見事、クライマックスでさつきが六郎に会うシーンの映像なんかは映画ならではの秀逸さ。過去の回想シーンはモノクロで表示され、なぜ六郎が横浜から山梨の恋園神社にたどり着いたのか?最初はふーんでしたが、舞台を観劇してからはこの映像はどう見えるか考えつくされており、舞台を見てからハッと気付かされました。
脚本/監督:宅間孝行
出演者:倉科カナ/市原隼人/入山杏奈 高橋メアリージュン やべきょうすけ 布川隼汰/永井大/金田明夫/大和田獏/トミーズ雅/立川談春/原田知世
主題歌:竹内まりや「小さな願い」
そして、半月ほどたち、タクフェス 再演の「あいあい傘」。
映画版と同じでさつき役の星野真里がこの舞台版でも主人公。初回公演主役から準主役にさがりましたが清太郎役の宅間孝行は、さつきに思いをよせ、さつきの心情をおもんばかり励ます優しいピュアな男。家族を捨て、育てた娘と意見が合わず悩む六郎。この広島の地から遠い横浜の地をどう見ていたのか?実際お汁粉もカレーライスもテキヤの車もでてこなかったが、イメージを十分に創造することができました。
作・演出:宅間孝行
出演:星野真里/宅間孝行/鈴木紗理奈/竹財輝之助/弓削智久/大薮丘/前島亜美/越村友一/佐田照 /モト冬樹/川原亜矢子/永島敏行
なお、映画版、舞台版と唯一共通キャストだったのは、滑川役の越村友一。最初は宅間の遊び、と思ってましたがなるほど重要な脇役だったんですね。映画と舞台ではシチュエーションこそ違いましたが振られ役。多いに笑えました。