実はこのドラマが製作発表されて、柴咲コウが主人公・主演と耳にした時の感想は
「ハア?」の一言に尽きる。柴咲コウといえば、「ガリレオ」をはじめとした主人公の
男性とダブル主演の時に一番光る女優である。今回のように単独主演しかも 大河ドラマ
主役の向きでは全くない。過去女性が主役の大河ドラマは名の通った女優が中心。
近年だとNHKの朝ドラなどの出演者、NHKの功労者から選ぶことが多かった。
・「お江」の上野樹里
その後はあまり過去のNHKのドラマに関係ない女優を選んできている。
・「八重の桜」の綾瀬はるか
・「花燃ゆ」の井上真央
この 2作は結果視聴率的に大苦戦。それでドラマの出来はというと「八重の桜」は
ともかく「花燃ゆ」は群馬県令時代だけで朝ドラでもよかったんじゃないかと真面目に
思ったもんだ。NHK大阪放送局製作の「あさが来た」で波瑠演じるヒロインで朝ドラ
を製作した時、もう大河ドラマの時代ではないと思ったもんよ。
確かにドラマが始まり、第4話にして柴咲コウがやっと登場してきたときはともかく
相手の井伊直親役の三浦春馬だとどう見ても違和感。小野但馬守役の高橋一生は地味、
井伊直虎役では若さ、未熟さを体現するあまり、ギャーギャーとうるさいだけの役。
彼女は時代劇に不向き(テレビドラマ・映画「信長協奏曲」出演はあるにせよ)じゃ?
と思ってた。
ところが今川氏真(尾上松也)に井伊直親が討ちとられた後の展開で、紆余曲折の末、
還俗して、女地頭(この場合井伊谷の領主)になってからというもの、若い中野直之
(矢本悠馬)と奥山六左衛門(田中美央)を従えたころからドラマの核ができたのか少し
面白くなってきた。また今川氏寄りの小野但馬守(高橋一生)の井伊直虎に対する複雑な
感情を見ていくうちに、井伊直虎がはまっていくなぁ!とだんだん思えてきた。
今回龍雲党の首領・龍雲丸(柳楽優弥)との再会、井伊直虎が懸命に龍雲丸に訴える姿を
見て、当初直虎役でオファーされていた杏ではなく、柴咲コウでよかったんじゃない?
と思えるようになってきたのです。くらいに柴咲コウは表情が豊かで見ていてとても
面白い。これは大河ドラマではない!という方も一度固定観なしにご覧になるといい
かもしれない。